行行子(ぎょうぎょうし)
お稲荷を食へば鳴くなり行行子 括弧
行行子は葭切のこと。夏の季語である。そろそろ出る頃だ。何しろう
るさい。蘆原の様相が一変して夏化(?)する原因としては、蘆若葉が伸びて青蘆になることが大きいのだが、葭切が鳴き出すことが風景を一変させるための最後のタッチだといっても過言ではない。昨年は4月28日に渡良瀬遊水地で第一声を聞いた。原っぱはまだ芝生状態で、タンポポが咲き乱れ、ヘビイチゴが咲き、西洋の絵に出てくる理想的な原っぱのようだった。日向も厭わず敷物をおいて、コンビニで買ってきたお稲荷を食べた。そのとき第一声がやってきたのである。空気はいっぺんにすがすがしさを通り越した。
ヨシキリは真っ赤な口をあけて夏中鳴き続ける。1羽いれば何十羽もいるかと錯覚するほどのにぎやかさである。多くの場合蘆の原にはセッカも鳴いているのだが、そんな声はかき消されてしまう。昔一生懸命は働いていて、山登りくらいしかしなかった頃には、蘆の原を通るときよほど獰猛な鳥が巣くっていて、大きな形の雛が必死に親に餌をせがんでいる声だとばかり思っていた。生き死にを賭けた大型鳥の雛だろうという想像はまったくの大はずれであった。この声を夏中傍若無人に発し続けるオオヨシキリは成鳥であり、しかもその形はせいぜい雀より一回り大きいかどうかなのである。
写真はまたもK君のものを使わせていただいた。
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