花菖蒲
花菖蒲咲かせたる家のまた一戸 括弧
アヤメ類の分類もまた悩ましいもののひとつである。最近は「簡単に見分けるには?」などと構えることはやめて、心穏やかに日々を過したいと思うので、あまり考え込まないように心がけている。アヤメ、カ
キツバタ、イチハツなどといわれてもさほど外見が違うとも思えない。ショウブはどうだという人もあるが、そもそも菖蒲湯へ入れるショウブはサトイモ科の植物である。言うならば「ハナショウブは?」という質問であるべきだが、改良前の原種は正確にはノハナショウブという。キショウブは山中の沼の縁などに鮮やかな黄色を誇っているから、これだけは分類を間違える心配がない。
花菖蒲と呼ばれているものは、多くは江戸時代にノハナショウブを元に改良されたものだというから、朝顔、紫陽花、菊などと同じ系譜に属するといってもよい。身分を問わず余裕さえあれば夢中になって新品種を求めたのであろう。話が横道にそれるが、皐月と呼ばれるツツジ科の園芸植物(正確にはサツキツツジ)も江戸時代から人気が高く、今から40年位前、およそ10年間に渡って何度目かの大ブームに沸いた。新品種は一芽何千円とまで言われたほどであった。こういう現象は矢張り江戸文化的というべきなのか日本文化的というべきなのか、判断に苦しむところだ。
最近、農村散策を繰り返す中で、どこの家でも大型のアヤメ類を育てていて、丁度今頃派手な色の大輪を咲かせていることに気づいた。都市部ではスペースの関係か、あまり見られない傾向だと思う。これを「花菖蒲」と見たのだが、実際は葉や根元の太さから見て、洋物のアイリスの類だろうと思う。乾ききった畑の中でも咲いてるのがどうも胡散臭いのである。出自を正せばこの句は嘘になってしまうところだが、なにしろ近頃はモノにこだわらないことを旨として生きている、 目くじらをお立てにならぬよう願いたいと思う次第である。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/471379/20980078
この記事へのトラックバック一覧です: 花菖蒲:

コメント