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2008年11月18日 (火)

外科病棟

 

 アンニュイの外科病棟や秋の果て  括弧

俳句の難しさは、こういう景を詠みたいと思った時に痛切に感じられる。小説であれば、あるいは詩であれば、少し018は前後の状況を説明できるので、「外科病棟」というものが持つステレオタイプを徐々に溶解させ、「アンニュイ」なる状況を読者に納得させることもできよう。ある日のある昼近いころ、この大病院の外科の待合室で順番を持つ患者はほぼ部屋が一杯になるほどのものであった。この病院では外科病棟といえども、あの悪名高いナチスのゲシュタポが街を走らせたユダヤ人狩りの警察車輌よろしき、人心を不安ならしめる騒音とともに急患を運び込んでくることもない。そういう急患を受け入れるのは、また別の部署が請け負っている業務なのである。ここで待っている患者にとっては、黙々とただひたすら待つだけが当面の仕事なのであった。今日は窓越しに入ってくる暖かな光が部屋一杯に溢れた小春日(これでは冬だが)なのであった。そういう風に一挙に想像力が飛んでいってくれる読者であれば、これはこれで、小説の冒頭部のような期待感に満ちた迫力ある情景描写ということにもなるだろう。だが、だが・・・、短詩形である俳句の難しさのひとつははそんな ところにもあるのだと思う。

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