冬の仙人掌(さぼてん)
箱植ゑの冬の仙人掌枯れしとも 括弧
仙人掌はメキシコ辺りの
乾燥地から来たもので、何しろ南方系だから、日本では温室以外では育たないだろうという思い込みがある。それにもかかわらず、昔から庭先などに何年間も植えっぱなしの仙人掌が、枯死した茎の上に新しい茎を生やして、全体として背丈ほどの大きさに育って、堂々と場所を占めているのを見ることがよくあった。ウチワサボテンである。そういう実物を見ると目を丸くして、持ち主の家の子を大いに褒めちぎったものだ。もちろんその子が育てていたわけではないから、本人も褒められて、複雑な気がしたことであろう。ことほどさように、仙人掌というもの、寒さに弱そうで意外に強い。我が家の軒下においてあるシャコバサボテンも今や寒さにめげず咲き乱れている。仲間は違うが、アロエという多肉植物も意外に枯れないもので、冬の間は防寒対策を施さないと死んだふりをしているが、春にはふたたび青んでんでくるからすごい。さすが「医者要らず」とあだ名されるだけのことはあるのだ。東京の、海に近い辺りを歩いていると、ここらでは霜がまったく降りないのか、何の防寒対策も施されていないアロエが軒先で花をつけていたりする。
さて、ウチワサボテンに戻るが、最近はその姿を見ることが少なくなった。もっと見栄えのよい植物がいくらでも買えるから、振り向く人が減ったのであろう。先日、所用のため出かけた行田市の市街部と農村部が混在しているような辺りで、川沿いに置かれた発泡スチロールの箱に入ったウチワサボテンを目にした。ほぼ枯れているように見えたのだが、どっこい暖かくなれば、ふたたび新芽を出すにちがいないのであった。あくまでも「死んだふり」なのである。(写真は本文と関係ありません。「イメージ画像」というヤツです。)
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