チェーンソー
チェーンソーの煙のにほひ梅雨に入る 括弧
家庭で使うチェーンソーであれば、ほぼ電動式であろう。昔ながらのガ
ソリンエンジン式のものは、今ではほぼプロ用に限られるのではないかと想像している。尤も、チェーンソーなど触ったこともない私が言うことだから、当てにはならない。
気づいた時には既にエンジンの音が聞こえ出していたので、目をやると、今や懐かしいとさえ思える真っ青な煙が立ち上っていた。煙はたなびきつつ静かにその形を変えてっていている。大木を伐っているのであった。このようなエンジンから立ち上る煙というものを久しく見ていない。物心ついたころにチェーンソーというものがどのくらい普及していたものか知らないが、学校からの帰り道で時々目にした古木の伐採風景は忘れられない。10人からの大人が集まって大きな鋸を交代で使っていた。斧のようなもので切り口を作ってから鋸の出番となる。何時間かかったものか、帰宅が遅くなるのを気にしつつ、いつまでも見ていたものだ。だから木を伐る場面と言ってもガソリンの匂いなどとは何の関係もなかったのである。
ガソリン式が、順次電動式ににとってかわられつつあるとすれば、チェーンソーのエンジンを始動させた時の、あの拳銃の発射直後に立ち上る硝煙にも似た、煙の色も匂いも再び 失われてしまうのだろうか。
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